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企業研修の導入事例

 江戸しぐさによれば、子どもを養育する要諦は「三つ心 六つ躾 九つ言葉 十二文 十五で理」だそうです。子どもの発達に合わせて段階的に教えていくわけですが、まず心から始まっていることが注目されます。

 新潟市の株式会社タカヨシさんは、「入社三年目までに社会人として、企業人として立派な人物に育てたい」という高橋春善社長の高い志によって、他社の社員も参加できる「にいがた塾」を開いています。年間380時間を越えるプログラムを用意し、人間教育として「高い志と感謝の心を持った人相の良い人を育てる」、会社人教育として「まず一人前に。それから一流に。そして一道を開く人に」、社会人教育としては「次代を担う立派な日本人、地球人を育てる」をそれぞれ柱に立てた教育を行っています。そのカリキュラムに「江戸しぐさ」が入っているのです。

 本書をテキストとして、まず「江戸しぐさ」とは、という学習をします。次に現代の世相や風俗を"今しぐさ"として列挙し、いいところは伸ばし、改めるべきはどう直し、どのように行動に移すかを議論します。こうして「にいがたしぐさ」を考え出し、それを実践していこうという学びです。

 タカヨシさんの他にも、「社員を立派な人間に成長させたい」と考え続けている美容院で、若者たち四十人が毎月一回、江戸しぐさを学んでいます。「"悪い見本"の大人になりたくない!」「小学生や若い世代から始めていくことが大事である」という率直な感想や提言を得て、学校教育の場にも導入していただくことを提案しました。高等学校の月一回の授業とクラブ活動に取り入れていただき、卒業時には感謝の心を持ってキチンと生きる力を持った生徒が育っていることをイメージして、私立高校の理事長さんにお示しいたしました。

 このほか、千八百名の社員を擁する企業団地の経営者の皆さんに、共同の社員研修事業の一環としての取り組みをお勧めしました。企業経営が当面する競争を超えた共通の理念と行動として、江戸しぐさの活用を進めて行きたいと考えています。

江戸しぐさを知ったあとで---「にいがた塾」アンケート結果

江戸の人たちの暮らしや知恵に対して、どう思いましたか?

 江戸の人たちは思いやりの心を誰に対しても持っていたんだな、と思いました。通りすぎるときも、会釈をしたり、簡単な挨拶をしたりと人情が町中に表れた社会だったということがよく判りました。江戸の人たちにとってそれが普通のことで、むしろ思いやりを持たない人はとても失礼な人として扱われたに違いありません。

 そんな風潮が昔の日本人にあったのだと学び、日本人として嬉しく思いました。

 私が強く感じたことは“人のつながりをとても大切にして生きている”ことでした。いかにしたら自分も相手も気持ちよく暮らしていけるのか?ということが、良く考え抜かれた知恵となり、それが江戸の人たちの暮らしそのものとして表れたのではないかと感じました。

 しぐさを実際やってみると、今すぐにでも使えるものがかなりあります。それをすることにより、ほとんどが相手に対する気遣い、心遣いにつながる事に気づかされました。自然にそんな事ができていた江戸の人はすごい!“日本人の鏡”だと思います。

今の社会について、感じることをあげてください。

 江戸しぐさを学ぶ前までは、今の社会は自分自身にとって普通で当たり前のものでした。しかし、江戸時代と現代を比べて考えてみると、本当にいいのか?と考えさせられる事が多くありました。私は江戸と現代は人と人の距離が全く違うと感じました。

 現代では子どもが親を殺した、面白そうだったから殺した、など悲しいニュースが毎日飛び込んできます。

 自己中心的ではなく、他人を思いやる事が普通にできていた江戸時代では、起こりうることではないと思います。

 今は次世代などとよく言われますが、たまには昔にさかのぼってみるのもいいのではないかと思います。

 利己主義の社会といっても過言ではないと思います。自分が巻き込まれたくないから見て見ぬふりをする‥‥‥。

 そんな事が当然な世の中になっています。その反面「かわいそう」「心配だ」と他人を気遣い、思いやる気持ちはあるはずです。その気持ちがある以上、まだまだ日本人の心は死んでいないな、と感じます。皆が助け合い温かな社会をつくるために、しなければいけないことはたくさんあると思います。

これからの私たちはどうあったらよいか。また、この後実行したいことは?

 まず、小さなことから始めるといいと思います。たとえば魚釣りに行ったら、知らない人に「釣れてますか?」と声をかけたり、職場でドアを「どうぞ」と開けてあげたり。そんなことをしているうちに自分の習慣になります。

 そしてそれを見ている周りの人も感化され、だんだんと「思いやりの輪」が広がっていくのではないでしょうか。

 他人を思いやる心が大切です。自分が行う行為に対して周囲の人にかかる迷惑、負担を考えなければなりません。

 これからの私たちは日本の一員、地球の一員であることを念頭においた行動を取るべきです。

 私は今後、周囲のことを考えた行動をとります。公共施設でのマナーに、とくに気をつけます。

本書を読んだ感想をお聞かせください。

 高度成長とともに日本人が置いてきたものが、いかに大切なものであったか、あらためて認識させられました。

 人間が生きていくうえで、とても大切な“忘れかけている心”を再発見させていただきました。当たり前のことが当たり前にできる社会づくり、自分づくりが大切と考えます。大人の役割と責任の大きさを再確認できました。感謝、感動ありがとうございました。

 むかし、小さい頃に、親や祖母に言われていたことを思い出しました。また、それを自分の子どもたちにも、挨拶や人のコミュニケーションの大切さを教えていきたいと思います。

 現代社会のルール、法律、規律など、人と人、多くの集団の中において、やってはいけないことを「しぐさ」と呼ぶことで、イキで愉しんで気づかせる習慣づくりになっていると思う。

江戸しぐさ

一年次「にいがたしぐさ」プログラム

実施日 科目 内容
1回目 5/12(金) タカヨシの行動基準と
言葉づかい
タカヨシの社員が大切にしたい行動
大きな声で明るい返事と挨拶
輝く笑顔
キビキビした動作
2回目 6/16(金) 江戸しぐさとは
挨拶と言葉づかい
江戸しぐさとは-上に立つ人の哲学
1.根源は互助共生の精神
2.いきで素敵な大人は瞬間的に体が動きます
3.知らない同士がなごやかになれる「往来しぐさ」
4.お客様をよろこばせる「繁盛しぐさ」
3回目 7/14(金) 挨拶と言葉づかい 明るい挨拶「束の間つきあい」
送り言葉に迎え言葉
明るく「おはよう」
「ありがとう」しぐさ
4回目 9/15(金)    〃 「水かけ言葉」「戸閉め言葉」「手斧言葉」
「ごめんなさい」「すみません」
明るい挨拶「束の間つき合い」・「おはよう」
5回目 10/13(金) 公共のマナー
 -往来しぐさ-
傘かしげ・肩ひき・カニ歩き
とおせんぼしぐさ・仁王立ちしぐさ・横切りしぐさ
落ち着きの5原則
6回目 11/17(金)    〃 銭湯つきあい
駕籠止めしぐさとあとひきしぐさ
粋なはからい
7回目 12/15(金)    〃 こぶし腰浮かせ
呑気しぐさ
七三歩き
無悲鳴のしぐさ

二年次「にいがたしぐさ」プログラム

実施日 科目 内容
1回目 5/12(金) 自然観
人間観
草主人従
もったい大事しぐさ
この世にいらぬ人間なし
人みな仏の化身
尊異論
2回目 6/16(金) 人間観 新しい人を大切に
三脱の教え
子育ての考え3つの心
亀の甲より年の功
3回目 7/14(金) 仕事観 処世観
まわりを楽にする働き方
おつとめしぐさ
念入れしぐさ
結界わきまえ
意気合いしぐさ

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新潟江戸しぐさ研究会